
「影」と「陰」と「蔭」。
どれも「かげ」ですが、この3つの「かげ」は、それぞれ指すものが違います。
この記事では、知っているようで知らない影・陰・蔭の違いと、使い分けについてまとめます。
影の意味・使い方
「影」は「光が当たることで見えるものの形」です。
一般的には、光源の反対側にできる暗い部分をいいますが、ガラスなどに反射して見える形も「影」と呼ばれます。
また、人の身代わりを「影」ということもあります。
「影」は、「月の影」「星影」「火影」など、もともと日・月・星などの光をあらわす言葉だったそうです。
それが転じて、光の反射で写る形や、光を遮ることでできる暗い部分を指すようになったようです。
- 障子に、ネコの影が映っている。
- 水面に、美しい富士山の影が映っている。
- 武田信玄には、影武者がいた。
陰の意味・使い方
「陰」は、「物に遮られて光や風雨が当たらない場所」です。
光源は必ずしも必要ではなく、隠れている場所・目立たない場所などは「陰」と呼ばれることがあります。
また、人目につかないことなども「陰」ということがあります。
- 屋根の陰で、通り雨をやり過ごした。
- ネズミが、廊下の陰から急に出てきた。
- あの人は、陰で何をしているか分からない。
蔭の意味・使い方
「蔭」は、草かんむりがついていることからも分かるのように「草木のかげ」のことです。
また、人からの恩恵を指すこともあります。
常用漢字ではないので、「陰」で代用されることも多いです。
- あそこの蔭に、カタツムリがいる。
- 彼女のお蔭で、今の私がいる。
影・陰・蔭の違い
「影」は形を表す言葉で、光源の反対側にできる暗い部分や、反射して見える形などを指します。
そして、「影」の反対側には必ず光源があります。
「陰」は場所を表す言葉で、物に隠れている場所、目立たない場所などを指します。
光源は必ずしも必要ではありません。
「蔭」は草木のかげや人の恩恵など、対象が非常に限定されている言葉です。
常用漢字ではないので「陰」で代用されることもあります。
そして「かげで支える」という場合、「人目につかないようにこっそりサポートする」という意味になるので、「陰」を使うのが良いということになります。
まとめ
- 影は、光を遮ることでできる暗い部分や光の反射で映る形のこと。
- 陰は、隠れている場所や目立たない場所のこと。
- 蔭は、草木のかげや人の恩恵のこと。
形の場合は「影」、場所の場合は「陰」を使えば大丈夫です。
草木のかげには「蔭」を使いところですが、「陰」で代用できます。
ただし、人の恩恵については「蔭」を使うとスマートですよ。